推薦者:苦以忧

2025.04.06
10m 38s
川卜紗の音楽は、フリージャズと現代音楽を土台としている。このEPも、初めは複雑で難解に聞こえるかもしれない。けれど、作者自身によるコンセプトの説明とあわせて聴けば、独自の楽しみ方が見えてくる。
「Älskar Hääl Radio」では、アフリカの伝統的な音、初期のジャズのサンプリング、現代の電子音の断片が交差する。古いものと新しいもの、身近なものと遠いもの、さらには自分と無関係に思える音までが、この世界に影響を及ぼしている。そして「いま聴かれている音が、ときには『聴く』という行為そのものになる」。この二つの考えが、アルバム全体を支えている。
アルバムの題名とテーマには、もう一つの思索がある。複数の視点から全体を捉え、ある真の値へ限りなく近づいていくこと。それは川卜紗にリーマン和を連想させた。「(but) look, lick-xises!」では、声が細かく切り分けられ、組み直される。刻々と起こる出来事が、人それぞれの知覚のなかで異なる断片となって現れるかのようだ。一人ひとりの感覚は、ある一つの「和」へ近づきながら、同時に音楽そのものの形を作り、変えていく。