Illustrator:佑
翻訳:虐酱(虐ちゃん)


クリエイターそれぞれにとって、足立レイとは、いったい何なのだろう。どうやって彼女の作品をつくり始めたのか。等身大のロボット本体、アカウントの混沌とした発言、「妹」の九十九シオン。こうした要素から、どんな面白い観察や想像が生まれているのだろうか。
クリエイターの紹介
中国のイラストレーター。足立レイの同人イラストを数多く描き、短編映像「新建文件夹(1)(1)(新しいフォルダー(1)(1))」も制作している。足立レイの無機質さを描くのが得意で、作品にはデジタルやグリッチの美学が見られる。
中国のイラストレーター・ボカロP。足立レイの同人イラストや、音楽映像「how to count 0 to rei」などを数多く制作している。構成主義的な作風が鮮明で、人ならざるものについての、自由奔放な発想が光る。
Q1
普段お使いのIDを教えてください。また、足立レイの同人創作において、主なご担当は何でしょうか。(例:ボカロP、イラスト、動画制作など)
稲むり(以下、稲):ボカロPですが、イラストを描くこともあります。
Aa(以下、A):Aa ボカロP
Kawahaze(以下、K):kawahaze ボカロP
Q2
足立レイとの初めての出会いはいつですか。また、そのきっかけは何ですか。
稲:あまり覚えていませんが、picdoさんの『隕石が落ちてきた』か、アボガド6さんの『足立レイ』という動画のどちらかで知ったと思います!
A:いよわさんの熱異常です。ボカコレ2022秋のTOP100にて一位を取っていたので聴いたのがきっかけです。
K:初めて足立レイを知ったのはentacさんの「足立レイのツイートに曲を付けてみた 2022秋冬編【全55曲】」という作品です。そこから興味を持って検索するようになり、明確にハマったと自覚したのは稲むりさんの「レトロフューチャー・ビーイング」という作品です。
Q3
差し支えなければ、足立レイのために初めて創作された同人作品についてお聞かせいただけますか。
稲:『NIKOTTE』という曲が初めてです。暗い歌詞なので、ほかのバーチャルシンガーのようなよく聞き取れる声で歌われるとすこし恥ずかしかったのです。
A:ニコニコにしか投稿していませんが、熱異常のRemixです。初めてのRemixでかなり拙いですが、思い出に残っています。
K:2023年の「人新世のラブソング」/sm42566790 で初めて足立レイをVOCALとして使用しました。
(右図は、上から順に図1〜5)
| 図番号 | 画像 |
|---|---|
| 図1 | ![]() |
| 図2 | ![]() |
| 図3 | ![]() |
| 図4 | ![]() |
| 図5 | ![]() |
Q4
足立レイのどの点に魅力を感じますか。(複数選択可) よろしければ、具体的なお考えを少しお聞かせください。
- A. 外見のデザイン(衣装、髪色、飾りなど)
- B. 声の特徴(正弦波合成、機械感など)
- C. アカウント「@adachirei0」の発言スタイル
- D. 等身大ロボットの実体プロジェクト
- E. その他:______
稲:A,B,D
粥:ABD
外見について:足立レイのデザインは、細部に実用性があって、いかにもロボットという感じがします。頭にはサーチライトとアンテナ、目はカメラ、ヘッドホンにはたくさんの端子がある。上着の下にはデータケーブル、スカートには回路図、髪留めはチップです。こういう機能を備えたデザインが、面白いと思います。
声について:足立レイを知るまで、無機的な音源の合成音声については、何も知りませんでした。だから、レイの声が正弦波と楽器でつくられていると知って、大きな衝撃を受けました。これこそ完全に無機的だ、と思ったんです。もちろん、声もかわいい。個人的には、ちょっと機械っぽさのある、ざらっとした声の子どもという感じです。
等身大ロボットのプロジェクトについて:自分の手でロボットをつくること、ゼロから何かを生み出すこと自体が、すごくかっこいいと思います。
A:A、B
佑:ABD
外見:黒と白の配置と、オレンジを差し色にしたデザインが、とても好きです。バランスがよく自然で、実はデザイン性が高く、構図もつくりやすい。あと、ケーブルのしっぽが4本ある。好き好き。
声:正弦波の声には、いつも少しかすれた感じがある。むしろ、生き物を不器用にまねている感じ、といったほうが近いかも。好き好き。
等身大ロボットの実体プロジェクト:レイが好きな一番の理由は、たぶんこれです。この現実味と、いつまでも理想に届かない創作の美学には、いつも心を動かされます。好き好き。あと、部品が散らばった長髪のレイには、ぜひ皆の性癖の頂点に君臨してほしい。
K:BとD
声の質感やキャラビジュアルの好みもあるのですが、本質的には中の人がいない合成音声、そして実際にロボットとしての製作プロジェクト(ならびにロボットとしてこの世界に実在すること)に強く惹かれます。
Q5
ご自身で足立レイに付け加えているオリジナル設定や属性はありますか。
稲:イラストですと、何かと巨大ロボにしがちです。
粥:自傷傾向です。
A:曲ごとにあれこれ付け加えることはありますがあくまで曲の中だけなので、そのフィルターを外した足立レイに私が個人的に付け加えている設定等はありません。
佑:容器のような感じです。この悲しさを、うまく表せているかはわかりません。
K:こちらも作品次第です。 例えば「Clockwork Orange Girl」という楽曲は、初音ミクのロボットのための(使い捨ての)プロトタイプという設定で歌わせています。
Q6
ご自身の創作において、足立レイをより人間らしく描いたり調声したりする傾向がありますか、それとも、機械としての特徴を維持・強調しますか。
稲:こと調声においては機械としての特徴をなるだけ維持するようにしていますが、イラストになると可愛くあってほしいこともあって表情豊かに描くことが多いです。
粥:どの作品でも、多かれ少なかれ、機械としての特徴を出しています。むき出しの関節、取り外せる部品、砕けたプラスチックの身体などです。画面にグリッチの要素を加えるだけのときもあります。描き始めたころから、足立レイを人間ではなく、ずっとロボットとして描いてきました。最初に惹かれたのが、まさに彼女の機械的な特徴だったので。
A:特に調声を施したことはなく、人間らしく、機械としてと聞かれてもどちらにもYESと答えられないと思います。
K:作品のコンセプト次第ですが、人間らしい調声を行ったとしても、機械としての特徴が強く出てくるという確信があり、そこも魅力の一つと思います。
Q7
足立レイに関する「豆知識」がありましたら、ぜひ教えてください。
稲:皆さんご存じだとは思いますが、UTAU足立レイの原音設定は見るべきでしょう…!
粥:豆知識というほどではないかもしれませんが、Muse Dashができます。
A:自分が知っている程度のことはみなさん知っていそうです。特にありません(T-T)
佑:A.I.VOICE Editorでパラメータを調整すると、足立レイが、/( > o< )\、みたいな表情をします。
K:特になし
Q8
大好きな足立レイの同人創作者はどなたですか。また、一番好きな作品はどれですか。
稲:1人挙げるのはなかなか難しいですね…好きな作品でいいますと、そのもののタイトルは分かりませんがキルスタ先生のイラストですごく大好きなイラストがあります。
粥:赤坂んんんさんです。特に好きなのは「機拐島」と「殺戮狂」の2作です。「機拐島」では、二人のロボット、足立レイとデフォ子が、島の人間による改造や売買から逃れるため、ほかの人にはわからない言葉でやり取りします。改造されたり、記憶を消されたりしたくない二人は、どちらかが壊れるまで、ずっとそばにいることを選びます。「殺戮狂」はその続編で、もっと絶望的で、苛立ちの強い雰囲気です。ロボットは制御を失い始め、自分がつくられた本当の目的が、殺戮狂になることだったと気づきます。抗えない本能が、最後には二人の思考を押しつぶしてしまう。この2曲は、音がとても無機的で、それでいて混沌として狂気があり、使われている二つの音源と、すごく相性がいいんです。こういう、ロボットの内面を題材にした小さな物語も、とても好きです。
A:駆動快さんです。「残骸、蒼」という曲が好きです。
K:創作者:稲むり 作品:オヨイダキビス/生命(sm44669868)
Q9
足立レイというバーチャルシンガー自体に、何か創作上の「核」みたいなものがあると思いますか?また、ご自身の作品でそのものを継承・強調したことはありますか?
稲:何よりも実態があるということ、ほかのバーチャルシンガーが超えられないレイヤーを超えてこちら側にいるという点で大きな文脈を纏ったキャラクターだと思います。自分の作品ですと、キャラクターカラーが同じ橙色でありながら、機械学習のリアルな歌声に、公式の漫画などでもウィンドウ越しの世界にいるなど対照的な要素を持つバーチャルシンガーである知声とのデュエット曲を2曲制作したことがあります。
粥:足立レイの物語の核にあるのは、人間らしさというフィルターを外して世界を見て、人ならざる存在を通じて、人間の本質を問い直し、演じ直すことだと思います。ロボットを主人公にする作品で、よく見られるテーマでもあります。ロボットは、人間よりも純粋に、こうした問いに向き合えます。私は、自分の感情を作品に投影することが多くて、それも、人ではない主体を使って、ある状態を表すことになると思います。たとえば、足立レイが自分を壊し、ハンマーで粉々にしたり、自分のケーブルを切ったり、電動ドリルで自分に穴を開けたりする絵を描いたことがあります。これは実際には、自分を否定するいろいろな感情や、頭の中の混乱した思いを、投影したものです。
A:無生物、人に作りあげられたロボットというのが核として個人的にはあると思っています。自分の曲ではそれらを強く出していると思います。
K:機械と人間の差異、またそれから
Q10
足立レイの音色の個性を踏まえて、適していると思う音楽スタイルはどれですか。また、逆に違和感を抱くスタイルはありますか。
稲:家族に足立レイの歌声を聴かせた時の感触を踏まえると、一般的にボーカルとしては違和感しかないと思うので、裏を返せば彼女を起用する意図さえあれば、どんな曲調にも合うと思っています!
粥:音楽のスタイルには詳しくなくて、専門でもないので、うまく説明できないかもしれません。簡単にいうと、足立レイの声は、そのまま聴くと、すっきりした音ではなく、無機質さが強いと感じます。なので、同じように無機的な音楽や、実験的な音楽、ノイズを含む音楽には、よく合うのかもしれません。
A:意外と何にでもあっちゃうんじゃないかと思います。ただハード系の音楽とかには合わないのかなと思ったりしています。
佑:歌や会話より、警報の声にすごく向いていると、ずっと思っています。
K:エレクトロ・ポップや8bitアレンジは足立レイの声に合っていると思います。 逆にバンドサウンドの楽曲は少ないので、今後はチャレンジしていきたいという気持ちがあります。
Q11
ボカロPの方へ:足立レイのマスタリングやミックスを行う際の、ご自身ならの方法論についてお聞かせください。
稲:彼女の声はまぎれもない電子音ですので、ミックスの際はあまり人間の声だと思わずリードとして考えています。よりパワフルな聴こえ方にするためにビットクラッシャーをかけたりしていましたが、まだ試行錯誤を重ねていきたいです!
A:特に細かいことはしておらず毎回2、3個のプラグインで済ませてしまっています。ただ、足立レイの声が正弦波から出来ているからなのか声が歪みやすいのでそこは気を付けています。
K:特になし
Q12
イラストの方へ:足立レイの初期イメージと、ご自身の特色ある画風との対比を、簡単に描いていただけますと幸いです。
稲:私の画風だと、公式の立ち絵が持っているような目尻や髪の先端などのシャープさを全て廃したもちもちになってしまいます…
粥:(左図)
佑:……たぶん、一度も正しく描けていません。ラフでは、大抵、右の髪留めを描き忘れます。(右下図)
| 左図 | 右図 |
|---|---|
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Q13
あなたのイラストやPVの中で、足立レイの頭をもぎ取った回数は多いですか。
稲:頭はまだありませんが、顔面をもぎ取ったことはあります。
粥:4回だけです。たいていは、ちゃんと首についています。
A:もぎ取ったことがありません。今後ももぎ取ることはないと思います。
佑:子どものころ遊んだアーケードゲームで、よく使っていたロボットのキャラクターに、自分の頭を外して爆弾に変え、相手に渡す技がありました。頭を外すのは、ロボットにとっては、ごく普通の悪ふざけという感じがします。
K:0回
Q14
足立レイのIQを予想してください。
稲:botの投稿に準拠するならきっと我々次第なので、足立レイのフォロワーが無作為な13.3万人(執筆時点)だとして、100としましょうか!
粥:こんな、ぽやっとした子なら、80は超えないと思います。
A:意外と知らないこと多そうです、もしかしたら90とかなんじゃないでしょうか。
K:測定不能
Q:足立レイの「本体」は、現実に存在するあのバーチャルシンガーそのものに限られるとお考えますか。それとも、世界中でその音源を動かしているパソコンなどのデバイスはすべて、足立レイから伸びた「器官」のようなものだとお考えますか。
佑:個人的な考えですが、つくられた機体と、マルコフ連鎖の発言をするコンピューターだけを足立レイと認め、ほかの機器をただの器官とするなら、それはアイドルを中心に据えた崇拝と変わらないのでは。いろいろなパソコンで分散して動くことが、まさにその中心を崩し、もっと多くの独立した性質を生みます。彼女たちの姿や、存在する意味までも、もっと広く、深くする。私が、バーチャルシンガー(歌姫)を「アイドル」と呼ぶことに、あまり納得できないのも、このためです。こう考えると、「バーチャルシンガー(歌姫)」は中心への集中を弱め、クリエイターや愛好者の集まりの中の、一人ひとりを表すものへと近づいていく。意味も豊かになります。そのほうが、面白いでしょう。
Q:足立レイは人間よりも長く生きると思いますか。
佑:必ずそうなります。
Q:足立レイの同人コミュニティやここの雰囲気について、どのように感じますか。
佑:公式設定やネタに頼るより、キャラクターの本質を深く理解した作品を、もっと見たいです……。もっと、もっと。
Q:足立レイの公式/同人製品を購入または譲り受けたことはありますか。現在お持ちの中で一番お気に入りの製品をご紹介いただけますか。
佑:持ってます、レイの、メイド服のアクリルスタンドを(ここで低音咖喱(@三重水素)さんに感謝)。ロボットメイド、へへへへへへへ!!!
Q:足立レイが次第に広く知られるようになるにつれて、ご自身の創作に対するお気持ちは何か変化はありましたか。
Q:足立レイの「本体」は、現実に存在するあのバーチャルシンガーそのものに限られるとお考えますか。それとも、世界中でその音源を動かしているパソコンなどのデバイスはすべて、足立レイから伸びた「器官」のようなものだとお考えますか。
A:「器官」だったらいいなって思います。
Q:足立レイ等身大ロボットは、将来「量産される」可能性があると思いますか。また、一つ欲しくなりますか。
A:量産されないと思います。私は欲しくもならないと思います。
Q:もし量産された場合、足立レイの「唯一性」は失われてしまうと思いますか。
A:足立レイに唯一性をさほど感じていません。失われるものもないと思います。ひとしく愛されて欲しい。
Q:もし量産された場合、自分だけの足立レイを育てるという行為は、二次創作に該当すると思いますか。
A:その育てた人が二次創作としてSNS等に投稿するなら二次創作になると思います。 そうではない場合は該当しないと思います。
Q:足立レイは人間よりも長く生きると思いますか。
A:はい。長く生きてほしいです。
Q:missile39氏はSNSで機体の開発進度をよく公開されています。その中で、半身の配線が露出した状態、髪を下ろしてだらしない座る姿、吊り上げられて浮かぶ様子など、これらの写真が多くの人の美的感覚に響いています。こうした写真の機体、あるいはそれに関連した同人作品に惹かれたことはありますか。もしあるとすれば、どのような点ですか。
A:惹かれたことがあります。エッチですから。
Q:足立レイの同人コミュニティでの交流やコラボレーションにはよく参加されますか。それとも、一人で足立レイに関する活動をする方がお好きですか。
A:あまり参加できている気がしません。一人も好きですが、交流もしたいです。参加させてください。
Q:足立レイの同人コミュニティやここの雰囲気について、どのように感じますか。
A:心地よいです。
Q:足立レイのUTAU/A.I.VOICEのイメージとVOCALOIDのイメージ、どちらがよりお好きですか。
A:優劣付けられませんでした。
Q:足立レイに触発されて、「無生物」/「中の人無い」のUTAU音源を制作されたことはありますか。
A:はい。
Q:足立レイの公式/同人製品を購入または譲り受けたことはありますか。現在お持ちの中で一番お気に入りの製品をご紹介いただけますか。
A:物欲がなく、自分の人生の中でグッズを買ったことが2回ほどしかありません。足立レイに関してはクラウドファンディングで支援したことしかありません。
Q:足立レイが次第に広く知られるようになるにつれて、ご自身の創作に対するお気持ちは何か変化はありましたか。
A:特にありません。嬉しいな~って思います。
Q:このアカウントでは、最も印象に残っている投稿はどれですか。
稲:『重音テトって子好き 可愛いよね』(2024/03/07/16:31) 何気なくテトへの愛をつぶやいたらまるまる全文ズモられてしまいました。 当時レイテトの人気が徐々に高まってきていた時期のこの投稿だったため、迂闊すぎないかとヒヤヒヤとしつつも内心は激アツでした!

Q:足立レイのアカウント上の発言は、「性格」と呼べるほどのものだと思いますか、それとも、正弦波のつぎはぎで歌うbotのように、ただの言語断片で出来た無感情な暴論マシンに過ぎないとお考えですか。
稲:ある程度性格だと言えると思います!
Q:A. もしこれは「性格」とお考えであれば、言葉にされていない、より複雑な感情世界が存在すると思いますか。
稲:無いと思いますがあったら嬉しいなと二次創作を見て思っています。
Q:足立レイの妹(九十九シオン)をご存知でしょうか。二人の発言の面白い共通点や違いについて、何か気づかれた点はありますか。
稲:AAPIの有料化に伴いずっと支離滅裂なことを言っているXのbotがぐっと減ってしまった今、私にとって二人は同じくタイムラインの癒しです!
Q:足立レイはマルコフの上記の理論1に基づくモデルであり、一方の九十九シオンは大規模言語モデルを基盤としています。もし足立レイを最新の言語モデルにアップグレードしたとしても、元のイメージを完全に再現できると思いますか。あるいは、前と後では、同じ足立レイとは言えなくなってしまうのでしょうか。
稲:九十九シオンと性格や語彙が異なった言語モデルを作ることは可能だと思いますが、botとしての足立レイのアイデンティティは、マルコフ連鎖由来の破天荒さにあると思います。
Q:お考えでは、人間の言語活動の本質も、足立レイのマルコフの言語モデルと同様のものなのでしょうか。
稲:何も考えていない時の発言はそうかもしれませんね!
Q:足立レイの「本体」は、現実に存在するあのバーチャルシンガーそのものに限られるとお考えますか。それとも、世界中でその音源を動かしているパソコンなどのデバイスはすべて、足立レイから伸びた「器官」のようなものだとお考えますか。
稲:合成音声キャラクターとしてのミーム性も彼女の大事な一要素ですが、彼女自身の頭部にPCが内蔵されていることを考えると前者かなと思います。
Q:足立レイ等身大ロボットは、将来「量産される」可能性があると思いますか。また、一つ欲しくなりますか。
稲:プロトタイプなので欲しいです!
Q:このアカウントでは、最も印象に残っている投稿はどれですか。
K:重音テトって子好き 可愛いよね
Q:足立レイのアカウント上の発言は、「性格」と呼べるほどのものだと思いますか、それとも、正弦波のつぎはぎで歌うbotのように、ただの言語断片で出来た無感情な暴論マシンに過ぎないとお考えですか。 A. もしこれは「性格」とお考えであれば、言葉にされていない、より複雑な感情世界が存在すると思いますか。
K:他者から見た言動こそが、本人の「性格」を規定すると考えます。 個人的には足立レイ(というロボット)には性格は存在しないと思いますが、足立レイのパーソナリティにとって欠かすことのできないものだと思います。
Q:足立レイの妹(九十九シオン)をご存知でしょうか。二人の発言の面白い共通点や違いについて、何か気づかれた点はありますか。
K:Twitterでの発言を見ると、より洗練された新型モデルのロボット感があってとてもかわいいです。
Q:足立レイはマルコフの上記の理論に基づくモデルであり、一方の九十九シオンは大規模言語モデルを基盤としています。もし足立レイを最新の言語モデルにアップグレードしたとしても、元のイメージを完全に再現できると思いますか。あるいは、前と後では、同じ足立レイとは言えなくなってしまうのでしょうか。
K:発言の質感は変わってしまうとは思いますが、足立レイのアカウントの発言はそれを取り巻くファンたちが、文脈からのズレや一致を楽しむことが本質であると思っているので、足立レイのアカウントから発されることが大切だと考えます。
Q:お考えでは、人間の言語活動の本質も、足立レイのマルコフの言語モデルと同様のものなのでしょうか。
K:人間には意思や思考が存在するため、異なるものだとは思います。ですが、例えば國分功一郎先生の中動態の議論を引用すれば、人間の自由意志的なるものをどこまで肯定できるのか?(足立レイの言語モデルを高精度化することと、何が変わるのか?)という問を立てることはできるかもしれません。 それは面白い議論だと思います。
Q:足立レイの「本体」は、現実に存在するあのバーチャルシンガーそのものに限られるとお考えますか。それとも、世界中でその音源を動かしているパソコンなどのデバイスはすべて、足立レイから伸びた「器官」のようなものだとお考えますか。
K:本体は現実に存在するロボットであると思います。
Q:足立レイ等身大ロボットは、将来「量産される」可能性があると思いますか。また、一つ欲しくなりますか。
K:量産されれば非常に面白いとは思いますが、 現状の足立レイの役割が歩行用の動作のためのプロトタイプであること(ルンバのような特定の役割を持たないこと)や、コスト面を考えるとなかなか難しいと思います。
Q:もし量産された場合、足立レイの「唯一性」は失われてしまうと思いますか。
K:足立レイの唯一性は、オリジナルの足立レイに宿ると思います。
Q:もし量産された場合、自分だけの足立レイを育てるという行為は、二次創作に該当すると思いますか。
K:現在の「足立レイのぬい活」に近いものになるのではないでしょうか?
Q:足立レイは人間よりも長く生きると思いますか。
K:足立レイのロボットとしての寿命(パーツの耐久年数)は人間よりかなり短いと思います。 概念としての足立レイ(例えば初音ミクのような)は長く存在するのではないでしょうか?
Q:missile39氏はSNSで機体の開発進度をよく公開されています。その中で、半身の配線が露出した状態、髪を下ろしてだらしない座る姿、吊り上げられて浮かぶ様子など、これらの写真が多くの人の美的感覚に響いています。こうした写真の機体、あるいはそれに関連した同人作品に惹かれたことはありますか。もしあるとすれば、どのような点ですか。
K:いろいろありますが、長髪足立レイには情緒を破壊されました。 みさいるさんは、ファンの癖を気軽に破壊していることを自覚してください。
Q:足立レイの同人コミュニティでの交流やコラボレーションにはよく参加されますか。それとも、一人で足立レイに関する活動をする方がお好きですか。
K:足立レイ関係でできた友人たちのコミュニティに参加しています。 その活動の延長線上にコンピレーションアルバムの運営があります。
Q:足立レイの同人コミュニティやここの雰囲気について、どのように感じますか。
K:日本においては、同じ合成音声のファンコミュニティと比べて、若いクリエイターが多いと感じます。 また、初音ミクなどの既存の合成音声のオタクを経由していない人間も多いのは特筆すべき事かなと感じます。
Q:足立レイのUTAU/A.I.VOICEのイメージとVOCALOIDのイメージ、どちらがよりお好きですか。
K:UTAUのイメージの方が強いです。 理由は、みさいるさんという個人から生まれた音声が徐々に大きくなっていった、という物語の中心にあるのがUTAUというソフトウェアだと思うからです。
Q:足立レイに触発されて、「無生物」/「中の人無い」のUTAU音源を制作されたことはありますか。
K:特になし
Q:足立レイの公式/同人製品を購入または譲り受けたことはありますか。現在お持ちの中で一番お気に入りの製品をご紹介いただけますか。また、外出時携帯やご自宅、職場などで飾っている足立レイのグッズは、全体グッズのどのくらいの割合を占めていますか。
K:足立レイズモぬい 6~7割程度
Q:足立レイが次第に広く知られるようになるにつれて、ご自身の創作に対するお気持ちは何か変化はありましたか。
K:特になし
Q:中国の足立レイ同人は、日本のそれと比べてどのような特徴があると思われますか。。中国人ボカロPによる足立レイのオリ曲を聴いたり、イラストレーターによる長編創作を見たりしたことはありますか。簡単にいくつか挙げていただけますか。
K:Bilibili動画では足立レイのファンの熱量がかなり高いと感じています。 特にこちらの動画が好きです。 https://www.bilibili.com/video/BV1VU411S7X3/
注
マルコフ連鎖による言語モデルは、簡単にいえば、ある文章が与えられたとき、その直前の文字列を条件として、大量の文章から求めた確率表に従い、次の文字を選ぶものだ。たとえば、中国語で「吃了炸鸡,感觉不」(フライドチキンを食べた。悪くな……)まで与えると、次には「错」が来ることが多いので、その字が選ばれやすい。「不错」で「悪くない」という意味になる。ところが、「喝了豆汁儿,感觉不」(豆汁を飲んだ。何だか……)なら、次に来るのは、たいてい「妙」だ。「不妙」で「まずいことになりそうだ」という意味になる。







