執筆:五月云

2025-10-26
「さよならコンクリート」は、このアルバムで最もプロダクションの質が高い曲でも、最も斬新な曲でもないかもしれない。だが、その軽やかさとシンセサイザーの控えめな使い方によって、音の各層が調和し、電子ダンス音楽としてのグルーヴも失われない。歌詞とビジュアルには、テトラポット(Tetrapod)という海岸保護用のコンクリート製消波ブロックのイメージが巧みに取り入れられている。曲全体がこの着想を軸に作られたのではないかと、つい思ってしまう。映像では、この四脚の構造物が、暖色の薄暗い小部屋に置かれる。植物や人の個体が成長するにつれ、枝や感情はゆっくりと別の場所へ伸びていく。やがて、さよならを言わずにはいられなくなるまで。
もし気が向いたら、『声镜(ボカガミ)』を読んでいる皆さんも、今この音を鏡にして、自分を振り返ってみてほしい。きっと新しい気づきがあるはずだ。