執筆:ii_ru

2025-08-22
だがSakuは、この作品でリズムの変化を使い、自身の視覚表現を伝えている。それがかえって、聴き手に新しい刺激を与える。冒頭にはほぼドラムがなく、Mikuのつぶやきと、ごく単純な分散和音だけが曲を支える。後半にかけて感情が積み上がり、雨粒のように密なブレイクビーツが次々と押し寄せ、最後はまばゆい音と光の中で突然終わる。PVは聴き手をChormecore1に満ちた暗室へ置く。両側の壁のグリッドに映る光と影や、円形の物体が満たされては点滅する様子を曲に合わせて変化させることで、圧迫感のある空間を作る。音場が左右や奥行きの方向へ動くことも、暗い通路がドラムの呼吸に合わせて明滅することも、時間と空間の感覚を見事に結びつけている。
「芯」のビジュアルや主題から、Jamiroquai「Virtual Insanity」2を思い浮かべる人もいるだろう。30年前に発表され、技術が人間をどう疎外するかを問う名曲だ。似た金属の質感と銀灰色の空間の中で、「Virtual Insanity」は、技術の急速な発展が人と人のつながりを縛ると、外へ向かって叫ぶ。一方、「芯」は二重の意味を込め、人の内面から出発する。約30年後の今、AIを取り巻く現実と理想の隙間で、かつての情熱を持ち続けられないことを、内省的に語るのだ。方向は違っても、どちらも技術と人間の関係を考えさせ、同じ問いに行き着く。「芯」の暗室にある円形の物体は、自由や美の追求を象徴しているのかもしれない。だが、その愛はどこから来て、どこへ向かうべきなのか。多くの人は一生かけて、何かしらの答えを探しているのだろう。
注
Y2K未来主義から派生したデザインの美学で、およそ1999年から2006年に流行した。金属やクロム合金の質感を持つ物体に、型で成形された曲線や形を組み合わせる。主に銀色、灰色、黒などを使う。
Jamiroquaiは、英国のアシッド・ジャズ/ファンク・バンド。1996年に発表したシングル「Virtual Insanity」は、3枚目のスタジオアルバム『Travelling Without Moving』に収録されている。