文:苦以忧

2026-02-21
よしぶるさん自身によれば、これは「グリッチラテンジャズロックオーケストラ」だという11……その説明の正確さはひとまず置いて、ここでは「ラテン」の要素に注目してみたい。拍子自体はシンプルだが、その上で展開するさまざまなシンコペーションはとても複雑。高速のMontunoやスウィングのリズムに加え、上下に飛び回る旋律が感覚をまっすぐに刺激する。それは、邦楽や合成音声のシーンに特有の美意識にも通じている。『鏡面旅団』にはラテンのリズムの特徴がありながら、その世界観と旋律は邦楽や合成音声の創作環境に寄り添っている。こうした特徴から、椎名林檎によるセルフカヴァー『薄ら氷心中』が連想せずにはいられない。どちらも、ほとんど狂気に近い芸術へと私を没入させ、この「暴力の美学」がもたらす快感を味わわせてくれる。
注
11
(空)