
2026-01-10
私たちは同じ川に入りながら、同時に入ってはいない。存在しながら、同時に存在しない。自分の記憶を眺めるとき、あの瞬間の自分の記憶を、本当に取り戻せるのだろうか。もくろは歌を通して、そう問いかけているようだ。高音と低音の間を跳ね回るリフは、記憶の画面にちらつくノイズのような質感を描く。糸のようにか細いナースロボ_タイプTの歌声は、その記憶のぼんやりとした、つかみどころのない感触をいっそう強める。サビの最後の三連符と引き延ばされた語尾は、歌詞とともに、本来の記憶を「溯りて従わんとする」嘆きを表す。歌詞が描き続ける、本来の記憶への執着は、感覚と理性の隙間に生まれた幽霊のようだ。その幽霊の到来は、すでにイントロで、ミュートギターに重ねて小さな音量で対位旋律を奏でるシンセサイザーによって予告されていた。ブリッジに至ると、前半では見え隠れしていたシンセサイザーが鮮明に浮かび上がる。幾重もの忘却と回想を通り抜け、別の色に染まってしまった記憶が、執着の幽霊とともに、ついに戻ってきたことを告げるのだ。続いてギターのトレモロが加わると、画面もまた歪み、その後にはナースロボ_タイプTの告白のようなポエトリーリーディングが続く。私たちはいつも現在の感覚というフィルター越しに思い出を振り返り、理性と断片的な感覚を頼りに、かつての記憶を組み立て直そうとする。この歌が示すように、凹凸のある一枚のガラス越しに眺めれば、目に入るすべての風景は、今の思いによって曲げられてしまう。