日本の夜

翻訳・校閲9maChatGPT

推薦者:苦以忧

日本の夜 ジャケット

2025.07.09
55m 58s

平田義久の音楽は、鋭さを隠さない。ピアノ、声、サックスが、それぞれ自由に自分を主張する。豊かな強弱の幅と演奏の表情によって、音楽には、少し悪ぶった格好よさが宿る。このアルバムの二人の共作者、なみぐるとA4は、平田義久の音楽と相性がよく、新鮮な彩りを添えている。

この大胆さに加え、生身の歌手とバーチャルシンガーの掛け合いも、平田義久が以前から持つ特徴だ。このアルバムのラップは、ほぼすべて生身の歌手が担当する。一方、バーチャルシンガーには、彼のチューニングによって、クールで切れのある声の質感が与えられる。特に注目したいのは、UTAU歌声ライブラリのゲキヤクだ。平田義久は、息を含む声、巻き舌、ボーカルフライなど、多彩な発声を引き出している。「死んでよ」では、それが特によくわかる。ゲキヤクの、世間を斜に構えて見るような気質が、自然に歌声へにじみ、悲痛な旋律と鮮やかな対照をなす。生身の歌手に近い、技巧豊かなゲキヤクに対し、「満員御礼」の可不(kafu)には、あえて機械的な質感を与えている。Aメロの起伏の少ない旋律に、声が「帯電」するようなエフェクトを合わせ、二人の声の間に面白い対比を作る。

「夏至下る」は、2022年の発表時から、私が特に好きな曲だ。花火の爆発音をサンプリングした曲より、音楽そのもので花火が開く様子を描く、この曲がとりわけ好きなのだ。冒頭の、機能和声に沿わないコード進行にはっとし、その上に美しい旋律を作る手腕に、さらに驚いた。自分の影を眺めて嘆くような曲なのに、私には、孔雀が羽を広げるような鮮やかな景色が見える。ほかにも、「都内某所」のタブラ、フレクサトーン、緊張を帯びた弦楽器や、「渇愛論II」の、強いざらつきを持つ歪んだギターなど、面白く新鮮な要素が、アルバムに彩りを添えている。

題名、ジャケット、歌詞、曲の空気から、「日本の夏祭り」という主題は、つかみやすい。全体を貫く「夏」「祭り」のイメージに加え、もう一つの創作の軸に目を向けたい。生楽器の音で、ダンスミュージックを作ることだ。平田義久によれば、この着想は、2023年にDJとして出演したときの経験から来ている。ベースミュージックの強度と、人を引き込む力に驚き、生楽器の質感で、その音楽に挑もうとしたのだ。

実際、エレクトロニック・ミュージックが生まれる前から、踊るための音楽は広く親しまれていた。ビッグバンドのスウィングや、ラテン音楽のサルサは、整った拍で、踊るための明確なグルーヴの枠を作る。管楽器で気分を盛り上げ、即興や楽器同士のやり取りで、面白さを加える。平田義久はその作り方をよく知り、多くの曲で、こうした生楽器のダンスミュージックに近づいている。ラテンのグルーヴを使う「日本の夏」、スウィングのリズムを使う「満員御礼」が、その例だ。一方、「花火大会」と「夏夜ノ唄」では、しっかりした電子ドラムのビートを選び、ヒップホップらしいスクラッチも加える。生楽器に固執しきることも、ベースミュージックのエネルギーの爆発を、そのまま再現することもない。自分の作風に近いグルーヴの質感で、両者を調和させている。この均衡によって、曲は芸術性だけでなく、本人の望む「機能性」も得た。合成音声のシーンのDJが、出演時にこのアルバムの曲を頻繁にかけていることは、その何よりの裏づけだ。

これは、平田義久が初めて取り組んだコンセプトアルバムだ。一つのまとまった物語を設計し、共通のコンセプトとイメージで、美しく熱気のある夏の夜を描いた。物語の筋だけでなく、音楽に統一感を与える工夫も独創的だ。異なる曲に、互いに響き合う「主題のフレーズ」を入れ、間奏曲で曲同士を緊密につなぎ、曲名まですべて四文字にそろえる。曲中の動機の呼応から、アルバム全体の曲順まで、高い統一感とまとまりがある。合成音声は、間違いなく、一曲ごとの作品を重視するシーンだ。バーチャルシンガーの曲で物語を語る人は少なくないが、発表済みの曲を数多く収めながら、アルバムに統一感を持たせるのは容易ではない。五年をかけて配置を考え、構想し、作り上げた『日本の夜』は、ぜひ聴いてほしい、優れたコンセプトアルバムだ。