
2025-08-22
そう、広々としてひんやりした空間を感じさせる音づくりは、今もEPSLAのお家芸だ。ジャンプとリダイレクトを繰り返しながら、ネットワークをたどるサイバー世界の旅が、今まさに始まろうとしている。
初めてメインボーカルに星尘Infinityを起用した本作では、EPSLAのチューニングが曲の魅力を決定づけている。中国語と英語の混ざった日本語のなまりがリズムの合間にきらめく。サイバー空間という主題とぶつかり合い、神秘的で味わい深い異国情緒を生む。息を多く含む歌い方が絶妙な空気感をつくり、ときおり交じる息遣いはパルスのように、音場の形を断続的に描き出す。サウンドデザインでは、一般的なテクノよりも、ドラムとベースに弾力と力強さを持たせている。明るいリバーブや、ときおり加わるReverb throw9からも、高速で通り抜けるこの空間が、何もない静寂ではないとわかる。無数の無機質な人工構造物が視界に現れるのだ。そこに透き通った効果音の断片とChord Stab10がちりばめられ、サイバー世界で明滅するダイオードのように、ハイテクな雰囲気に満ちた広い空間を照らす。
意識はビットの流れに沿って漂っていく。機械的なグルーヴの中で知性と感性は絶えず分かれていき、この空間がどれほど広く、どこへ通じるのか、誰にもわからない。
注
9
リバーブ・スロー。フレーズの終わりではっきりした残響が急に現れる効果をいう。
10
コード・スタブ。短く鳴らす和音で、グルーヴを強めるためによく使われる。